ネゴシエーション(交渉)というと、政治やビジネスなどのフォーマルな交渉だけを想像しがちですが、日々の生活の中で人は毎日交渉しています。たとえば、親や妻、夫とどこのレストランで食べるか決めている時、子供からおねだりされた時、自分の言い分がどの程度通るか、相手の興味をどの程度受け入れるか、多くの場合は無意識的かもしれませんが、日々の中でも交渉は存在しています。

アメリカで生活していると、日本で生活している以上に日々の交渉能力の必要性を感じます。先日もレンタカー会社との間で返金をしてくれる、してくれないというやり取りがありました。ほかにも、車の修理に問題があると感じ、何かしらの償いをしてほしかったのですが、どう、何をお願いするか、を交渉しました。ケーブルテレビでも何も知らないうちに値段が上がっていたので、電話をして安くするよう交渉しなくてはいけませんででした。そんな毎日で交渉の重要性を日々感じています。

そこで今日は、Dr. Seth Freeman による、”I foresaw it”とう交渉準備方法を紹介します。これに基づいて準備をして交渉に望むと、より良い結果が得られることが知られています。

I foresaw it
  • Interests: 自分達と相手の興味は?どうして交渉しているの?
  • Factual and Financial Research:事実やデータに基づく情報があるか?法律や規制は?
  • Options:どんなオプションがありえるか?できるだけクリエイティブになってみる。
  • Rapport, reactions, and responses:相手の感情や反応を予測して自分の反応を考える。
  • Empathy and ethics:相手の立場になって考えてみる。
  • Setting and scheduling:どこで?いつ?方法は(電話、直接、メール)
  • Alternatives to agreement:ディールに至らなかった時にどうするか?
  • Who:他の誰がこのディールに影響を与えうるか?(自分側、相手側)
  • Independent criteria:相手側が信用するだろう基準、データ、情報など。
  • Topics, targets, and tradeoff :準備を紙にまとめる。何についての交渉ー>ゴールは?(最適なゴール、最低認め得るゴールを検討しておく)ー>ゴールに至らなかった時にはどうするかのオプションを検討する(相手も自分もある程度満足できるようななオプション)

Dr. Seth Freeman が紹介する例を引用してみます。

日曜の夜の友人の結婚式に参加するため、家族でシカゴの4つ星ホテルに到着した。チェックインをするために並んでいると、前に並んでいる客が、オーバーブッキングのために近くの同じクラスのホテルに移動をしてもらえないか、こちらのホテルの部屋が準備出来次第連絡する、というように言われている事を耳にした。自分も同じ事を言われるに違いないと思った。旅行中になんどもパッキングをしたりし直したり、そのために移動の時間を裂かれるのは納得がいかないと感じた。落ち着いて交渉をするためにはどうしたらよい?

Interest 自分の興味は? 利便性/結婚式会場まで送迎がある/なんどもパッキングやアンパッキングをするのを避けたい/何かしらの代償は/フェアで敬意をもったホテルからの対応
相手(ホテル)の興味は? ホテル:評判/また利用してほしい/規制を守る/コストを安く抑えたい
フロント係:上司からいい仕事をしていると思われたい/顧客を怒らせたくない/首をきられたくない/
共通する興味は? 双方納得のいく結果/素早い解決/大げさにならずに解決
Factual and Financial Research 交渉前にどんなリサーチができる? オンラインで他のホテルを調べる(レート、ポリシーなど)/シカゴに住む友達や友人に助言をもとめる/他のゲストに聞いてみる/Chicago’s tourist boardでどんな規制があるか調べる/トラベルアドバイザーに電話をして一般的な業界の対応について知る
Options どんなクリエイティブなオプションが考えうる? ホテルが進める他のホテルに泊まる(が、予約していたホテルには戻らないようにしてもらう)/返金を求め自分で他のホテルを探す/予約していたホテルに空きができたら無料でアップグレードをしてもらう/食事や駐車場代などをホテルに無料にしてもらう/ポイントを多くもらう/ギフトカードをもらう
Rapport, Reactions and Responses どうしたら相手の信頼を勝ち得るか?相手の批判に対してどのように対応するか? フレンドリーな声、トーンで話しかける/フロントの人とが対応できない場合には、相手を尊重しつつマネージャーと話させてもらうようお願いする
Empathy and Ethics 相手の気持ちは?相手はどうしたい? フロント係の人は客をできれば助けてあげたいが、多くの客からの苦情などで疲れているかもしれない/こちらがオプションを提供すれば係の人は楽になるかもしれない
Setting and Scheduling 最適な交渉の場所、時間は? 他のゲストがいない時に、しずかにホテルの係の人に話してみる
Alternatives to agreement デールに至らなかったらどうする? 自分で他のホテルに止まり、CEOへ苦情を述べる/友人や親戚に泊めてもらい、悪いレビューをソーシャルメディアに残す/
ディールに至らなかったら相手はどうする? リピート客を失う(一人だけでなく、関連する人を含める風数の客の信頼をも失う)
Who 他のだれがこの交渉に影響をあたえうるか? 親戚、友達、シカゴ市、クレジットカード会社、他のゲスト、フロント係の上司
Independent Criteria 信頼の置ける情報ソース、データなどはあるか? 業界のスタンダード(クレジット会社から得られる情報)

こういった情報をもとに交渉に望むと、相手にとっても自分にとっても良い結果が得られる可能性が広がります。ただ、この例でもそうかもしれませんが、家に帰ってじっくりリサーチして準備する時間なんかない!という場合も多いのも事実です。そんな時にも、何か問題があった時にすぐ反応するのではなくて、5分でも10分でも時間を置いて、頭を冷やす、簡単なリサーチをする、相手の気持ちになってみる、などをするだけでもすごく違った結果が得られます。

最後に、私も最近いろいろ交渉する例があるといいいましたが、上司を含めたり、情報をあつめておいて、後日交渉しなおすことで解決できました。また、相手も受け入れてくれそうなオプションを提示することですんなり解決することもありました。

皆さんの仕事、日々の生活での交渉にぜひ活用してみてください。